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インプラントが顎骨と結合するメカニズムとは?


インプラントの根っこの部分はネジのようになっています。

この部分を歯槽骨に埋入して結合、安定を図りますが、時には「ネジのような仕組みであれば外れてしまうのでは?」とご心配される患者さんがいらっしゃいます。

しかし、インプラントはただ歯槽骨にはまっているだけでなく、強固な結合をしています。

インプラントが歯槽骨と結合するメカニズムについて解説します。


■インプラントの人工歯根ついて


◎人工歯根部分が結合する

インプラントは、人工歯根であるインプラント体、連結部であるアバットメント、上部構造である人工歯部分に分けられます。

この中で歯槽骨と結合するのはインプラント体の部分です。

アバットメントが連結の役割を果たし、上の人工歯部分のみが外から見えている状態となります。


◎人工歯根部分はネジ状になっている

インプラント体はネジのような形をしています。

またメーカーによってはそこにさらに溝が入っているケースもあります。

これはインプラント体が歯槽骨と接する面積を増やすために、そのような形となっています。


◎素材はチタン

インプラント体部分の素材はチタンです。

チタンは人工関節などにも使われる生体親和性の高い金属です。


◎3~6ヶ月程度の時間がかかる

インプラント体の埋入手術を行ってから、インプラント体が結合するまでにはどんなに短くても3ヶ月、平均的に6ヶ月程度の時間がかかります。


■オッセオインテグレーションとは


◎光学顕微鏡レベルでも結合が確認できる

チタンは歯槽骨との結合が強く起こる金属です。

歯槽骨とチタンの、組織レベルでの結合をオッセオインテグレーションと呼びます。

(詳しくは次回記事にて解説)


■インプラントと骨の結合に影響のあるファクター


◎歯周病

インプラント体は、骨が強く結合してその場に安定しますが、お口の中の状態によっては骨の増生や治癒がうまく起こらないこともあります。

その場合はインプラントの早期脱落につながります。

インプラントの早期脱落につながるファクターとしては歯周病があります。

歯周病は歯槽骨の吸収が起こる病気のため、インプラントを埋入しても治癒を遅らせたり、炎症を起こしたりするリスクがあります。

歯周病があってインプラント治療を受けたい方は、歯周病治療をしてからインプラント手術をする必要があります。


◎喫煙

喫煙をしているとニコチンの影響により歯周組織の血流が悪くなるだけでなく、歯周組織の炎症が起こっても気づきにくいといわれています。

インプラント手術期間は禁煙する必要がありますが、その後もインプラントの寿命を伸ばすためにも禁煙するのがベストといえるでしょう。


◎骨粗しょう症

骨粗しょう症で骨の密度が足りない方は、インプラント手術を行えないことがあります。

骨粗しょう症の重症度によっては、インプラントがその場に定着せず脱落するリスクが高くなります。


◎術中の感染など

手術中の環境が衛生的でないなど、何らかの理由で最近感染を起こしてしまったりするとインプラントと歯槽骨がうまく結合せず、早期脱落につながる可能性があります。


【インプラント体と骨は組織レベルで結合している】


インプラントはネジのような形をしています。

メーカーによってはさらに溝が入っている、細かい凹凸があるなどのケースもあります。

これは歯槽骨とインプラント体が触れる面積を増やすためです。

このように、インプラント体と歯槽骨が組織レベルで結合することにより、インプラントはその場に安定します。

歯槽骨の治癒と増生を経て、インプラントはその場に安定するため、治癒を遅らせるような要因があると安定に時間がかかったり、脱落につながったりする可能性があります。

インプラントは大きな外科手術です。

注意事項を聞き、守るだけでなく、骨と結合するメカニズムをよく知ると、安心してインプラント手術を受けられるのではないでしょうか。



山田歯科
歯科医師
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