歯の寿命は定期的なメンテナンスに
左右されます
歯科医院での定期的な予防・メンテナンスを「した方」と「そうでない方」の年齢別の統計があります。
これによると80歳になったときに残っている歯の本数にはメンテナンスを「した方」の平均は15,7本に対し、「していない方」の平均は6,8本と9本近くの開きがでるという結果になりました。
もっと分かりやすく「メンテナンス」をしている場合としていない場合の比較を説明したいと思います。
残存指数と医療費の関係
1人当たりの生涯医療費は、2,300万円。
(半分は70歳以降の医療費)
8020達成者は、70歳以降の入院医療費が
1/5と言われています。
8020達成者(80歳になっても歯が20本以上残っている方)は、そうでない方の入院医療費の5分の1しかかかっていないという事です。つまり、「病院にかかる必要がない=健康でいられる」ということです。
一般の方は「歯が多く残っているだけで、なんでこんなにも違ってくるの?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、皆さんが思われているよりも「歯の健康」は「体の健康」に密接に関係しています。歯を失ったままにしておくと、食べ物をよく咀嚼できませんので、消化が悪くなります。また、噛み合わせのバランスが崩れることで、歩行障害、頭痛、不定愁訴の原因となるとも言われています。そして歯を失う原因に多いのが歯周病です。これは心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病と密接にかかわってくる病気です。
また、歯科医師としてなによりも主張したい点は、「80歳になっても自分の歯でいられる」ことの素晴らしさです。一般の方々は「歳をとれば、自然に歯が抜けてしまうものだ」とお考えの方がいると思いますが、事実は違います。若いころから歯科医院で定期的にメンテナンスを受けていれば、上記の図・統計にもあるように、多くの歯を残すことが可能となるのです。
歯を失うことの辛さは、実際に失った方でないと分りませんが、事実、生活の質が落ちてしまいます。快適な老後を送るためにも、早いうちから歯のありがたみを理解し、日々のブラッシング、定期的なメンテナンスを生活習慣の1つに組み込むことが非常に大切となります。
「治療の連鎖」を断ち切るために
現在の歯科医療では、むし歯・歯周病の原因が解明されており、どのようにすればむし歯・歯周病にならずに済むのかの予防法が確立しています。むし歯・歯周病になってしまったのには、あなたにそれだけのリスクが存在していたからです。このリスクを減らすことができなければ、治療したとしても再発する可能性は高まります。歯医者でのメンテナンスでは、単に歯石・バイオフィルムなどを除去するだけでなく、あなたのリスクを把握し、そのリスクコントロールのアドバイスも行います。今度は治療ではなく、お口のケアのために3ヶ月~6ヶ月ごとの定期的なメンテナンスをお勧めします。